オレオサイエンス
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23 巻, 9 号
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特集序言
総説
  • 杉森 建哉, 浦川 理, 井上 正志
    2023 年 23 巻 9 号 p. 477-482
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/02
    ジャーナル フリー

    パッシブ・マイクロレオロジーでは,プローブ粒子のブラウン運動の軌跡から粘弾性関数を得ることができる。粒子位置の測定には様々な方法を用いることができる。本総説では,ビデオトラッキングと動的光散乱を用いた代表的な方法を説明し,最近の研究結果を紹介する。また,最近開発した,誘電緩和測定を使用してプローブ粒子の配向相関関数からマトリックスの粘弾性を決定する方法についても紹介する。この方法は分子サイズのプローブを使用することができ,ガラスのような弾性率の高い材料に適用できる。この方法によって,マイクロレオロジーからナノレオロジーへと関心を広げることができる。

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  • 印出井 努, 成田 哲治
    2023 年 23 巻 9 号 p. 483-489
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/02
    ジャーナル フリー

    パッシブ・マイクロレオロジーは,エマルション,ミセル,高分子溶液,ゲルなどに代表されるソフトマターの粘弾性を,光学的に測るレオロジー技術である。パッシブ・マイクロレオロジーでは,媒質内に微小なプローブ粒子を分散させ,それらのブラウン運動の平均二乗変位を観測することで,媒質の線形粘弾性を見積もる。ブラウン粒子の平均二乗変位は,一般化ストークス・アインシュタイン関係式を使って媒質の動的弾性率に変換される。この総説の前半では,パッシブ・マイクロレオロジー法の基本概念と一般化ストークス・アインシュタイン関係式の導出法を簡潔に説明する。プローブ粒子の平均二乗変位を測る方法は幾つかあるが,なかでも拡散波分光法は高周波領域における線形粘弾性の測定を可能にする重要な技術である。後半では拡散波分光法の原理を解説したのち,拡散波分光法を利用したパッシブ・マイクロレオロジー法の例をいくつか紹介する。

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  • 西澤 賢治, 水野 大介
    2023 年 23 巻 9 号 p. 491-498
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/05
    ジャーナル フリー

    光トラップとレーザー干渉法を用いたマイクロレオロジー(MR)計測について解説する。生体試料は希少なことが多く,レオロジーの時空間スケール依存性も顕著であるためにMRが有効であるが,細胞のように揺らぎ(流動)が大きく,また,光によってダメージを受ける生体試料の計測は困難であった。私達は,プローブ粒子に加わる力とその位置をそれぞれfeedback制御するMR計測によって,生体試料を始めとするソフトマターの低侵襲かつ精密な力学計測を可能にした。本稿ではこの最新の手法について説明した後,計測例として細胞内部の線形粘弾性と外力誘起による細胞骨格の非線形揺らぎについて紹介する。

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