オレオサイエンス
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特集総説論文
飽和脂肪酸の酸化による2-alkanoneおよびlactone生成メカニズム
青柳 寛司加藤 俊治井阪 大輔乙木 百合香上原 秀隆仲川 清隆
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2025 年 25 巻 8 号 p. 319-329

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抄録

分子内のアルキル鎖に二重結合を持たない飽和脂肪酸は,二重結合を持つ不飽和脂肪酸と比較して,“酸化されづらい”もしくは“酸化されない”と認識されている。しかし実際には半世紀以上前から,飽和脂肪酸であっても高温で加熱されることで酸化され,乳製品や牛肉などの動物性食品に含まれる香り成分である2-alkanoneやlactoneといった特殊な分解物が生成されることが知られていた。この現象には,特定の飽和脂肪酸ヒドロペルオキシド位置異性体が関与していると推定されていたが,当時の技術ではこれらの異性体を調製することは困難であり,結果としてメカニズムの解明には至らなかった。本総説では,我々が開発してきたヒドロペルオキシド異性体の調製技術を駆使することで解明された,飽和脂肪酸の酸化による2-alkanoneおよびlactoneの生成メカニズムについて解説する。このメカニズムへの理解は,飽和脂肪酸を多く含む植物油脂から動物性食品の香りを創り出す技術の開発に繋がり,プラントベースフード等のおいしさ向上に貢献することが期待される。

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