オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
総合論文
プロスタグランジンの血管新生制御機構
平澤 典保大内 和雄
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 5 巻 2 号 p. 65-71

詳細
抄録

炎症のchemical mediatorであるprostaglandin (PG) E2は, 急性炎症反応だけでなく, 慢性炎症にも関与していることが明らかにされてきた。ここでは, cyclooxygenase (COX) -2に由来するPGE2が肉芽組織における血管新生に関与していることについて, 筆者らのラットのカラゲニン空気嚢型炎症モデルにおける研究成果を中心に最近の知見を紹介する。
ラット背部皮下に作製した空気嚢内にカラゲニン溶液を注射すると3日後から6日後に血管新生を伴う肉芽組織の増大が見られた。COX-2選択的阻害薬NS-398及びCOX-1/COX-2阻害薬indomethacinは滲出液重量, 肉芽重量及び血管新生の増大を抑制し, COX-2は炎症反応だけでなく, 血管新生にも関与していることが示唆された。NS-398は滲出液中の血管内皮増殖因子 (VEGF) 量を低下させたこと, PGE2はin vitroにおいて, 肉芽組織によるVEGF産生を増大させたことから, COX-2に由来するPGE2がVEGFの産生を誘導し, 肉芽組織中の血管新生を増大させることが示唆された。さらにPGE2のVEGF産生誘導機序についても言及する。

著者関連情報
© 2005 公益社団法人 日本油化学会
次の記事
feedback
Top