オレオサイエンス
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特集総合論文
スマートメンブレンの気体透過と優先収着
辻田 義治吉水 広明
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2006 年 6 巻 9 号 p. 451-458

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抄録
シンジオタクチックポリスチレン (sPS) のスマートメンブレンの拡散, 透過性が研究された。HeからiC4H10の8種のサイズの異なる気体分子の膜の拡散・透過係数の検討から, sPSαform結晶中に約む3.8Å以下の直径を有する規則的に配列したチャンネル様, キャピラリー様分子キャビティーの存在を確認した。次に, 分子キャビティーサイズの異なる2種のsPSメゾフェイズ膜 (スマートメンブレン) の調製法を述べ, 両膜への大きめのトルエン, 小さめのクロロホルム蒸気の収着挙動を検討した。トルエン, クロロホルム系のδformからメゾフェイズを調製すると, それぞれ個々の溶媒分子のサイズ・形状を記憶した分子キャビティーが大きめな, 小さめな分子キャビティーを有するスマートメンブレンが創成される。小さめなキャビティーへは大きめなトルエン分子は収着しにくく約6割しか収着しない。逆に大きなキャビティーの場合はキャビティーへの十分な飽和収着が明らかになった。基本的には両有機溶媒分子のキャビティーへのLangmuir収着機構で説明された。このように分子キャビティーサイズ依存の収着・拡散・透過性が明らかになり, 高度な分離機能への展開が期待される。
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© 2006 公益社団法人 日本油化学会
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