オレオサイエンス
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受賞論文
α-アリール-β-ケトエステル類のトランスアシル化
西脇 永敏
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2007 年 7 巻 4 号 p. 151-157

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抄録
β-ケトエステルのアシル基がα位にアリール基を導入することにより, 高度に活性化されることを明らかにした。この反応性を利用すれば, アミン, アルコール, チオールなどの求核試薬にアシル基移動 (トランスアシル化) させることにより, 容易にアシル化を行うことができる。とくにアミンを用いた場合には, 本トランスアシル化反応は擬似分子内反応で進行するために, 穏和な条件下で副生成物を与えることなく容易に進行する。また, 基質としてアリール化した3一オキソペンタンニ酸ジエチル (アセトンジカルボン酸ジエチル) を用いた場合, アミドエステルなどの非対称なマロン酸誘導体を簡便に合成することができる。さらに, このトランスアシル化が基質の立体的なかさ高さに大きく影響を受けるという特長を活かせば, ジァミン類やアミノアルコール類を, 保護などの修飾や添加剤を加えることなしに, 化学選択的にアシル化をすることも可能である。
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© 2007 公益社団法人 日本油化学会
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