抄録
洗濯洗浄における機械力を, 布の変形と摩擦に対する寄与および洗液の流れに対する寄与に分け, それぞれについて従来の研究結果を紹介し, その位置づけと意味するところを述べた。また, 機械力を積極的に利用して洗浄に必要なエネルギーや洗剤を減らす方法についても言及した。さらに, 洗液の流体力学的特性や動的表面張力についても記した。とくに, 布に与えたエネルギーはある値以下では洗浄に有効に働くけれども, その値以上では洗浄に有効に働かないこと, および, 洗剤水溶液は汚れの付着力を弱めるという化学的作用の他に, 糸あるいは繊維問流れの流動抵抗を減少させ水に比べて大きな流量を実現させることにより汚れを落とす効果のあることが述べられている。