オレオサイエンス
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特集総合論文
界面活性剤水溶液の泡膜特性
田村 隆光
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2009 年 9 巻 5 号 p. 197-210

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抄録
泡膜は膜厚みに応じてその安定性を支配する主因子が変化する。泡膜の排液の駆動力には重力, キャピラリー圧, 表面張力があり, 排液はキャピラリー圧が泡膜の分離圧とつりあって平衡膜厚みが示される。泡膜が厚い状態では, 流体力学的な液体物性に依存して排液が進む。その過程で熱ゆらぎが観測され, これが激しくなると局所的に液膜の両而が接触して黒膜を形成する。薄膜となると平衡膜厚みに近づくにつれ分離圧効果が現れるため, DLVO理論に従って電気二重層反発力とファンデルワールスカの合算で膜厚みが決まる。気泡は高い表面張力を持つため疎水性と考えられ, 疎水性相互作用が合一の頻度を高める。界面活性剤濃度が低くなると, 気泡の疎水力が合一で重要な役割を担い, それが高くなると界面活性剤の表面濃度勾配による膜弾性が重要となる。本稿では, 水平膜と垂直膜を用いた界面活性剤の単一液膜物性を, 流体力学および平衡状態解析から明らかにした膜研究を紹介する。応用事例としては, 泡膜安定化に用いられる種々の添加剤の機能をまとめた。
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© 2009 公益社団法人 日本油化学会
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