抄録
両側同時性顔面神経麻痺で発症した, Guillain-Barré症候群の亜型であるfacial diplegia with paresthesiaに類似した臨床像を呈した小児例を経験したので報告する。症例は7歳男児である。先行する上気道感染の後に表情が乏しくなったことに両親が気付き当院小児科を受診し当科紹介となった。初診時, 額のしわ寄せ, 閉眼, 閉口が不能であり, 両側同時性顔面神経麻痺を認めた。両側同時性の顔面神経麻痺であるため原因疾患の検索を行ったところGuillain-Barré症候群との診断を得たため副腎皮質ホルモンを使用せず, 免疫グロブリン大量静注療法を施行した。治療後13日後には顔面神経麻痺も回復し, 入院19日目に退院となった。
非常に稀ではあるが, 両側同時性顔面神経麻痺に遭遇した場合, 耳鼻咽喉科医はGuillain-Barré症候群, またその亜型であるfacial diplegia with paresthesiaを念頭に置き, 原因疾患の検索を行いつつ治療を行うことが重要であると考える。