Otology Japan
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原著論文
当科での先天性耳小骨奇形の術後成績について
桂 弘和武藤 俊彦三代 康雄足達 治阪上 雅史
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2011 年 21 巻 5 号 p. 795-799

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抄録

最近10年間に兵庫医科大学耳鼻咽喉科で手術を行った耳小骨奇形症例の38症例41耳について検討した。男性13例、女性25例で手術時の年齢は4歳から48歳 (平均20歳) であった。船坂の分類では1群が最も多く20例で、2群が10例、3群が6例であった。術前ティンパノメトリは離断症例でA型が最も多く、固着症例ではC型が最も多くみられた。耳小骨筋反射は反対側刺激で離断症例のうち9例 (82%)で反応がみられるのに対して、固着症例は反応がみられなかった。伝音再建法はIII型変法が最も多く20例 (49%) で、ついでIV型変法の7例 (17%)、アブミ骨手術が6例 (16%)、I型が4例 (10%) であった。
2010年の耳科学会判定基準による術後聴力成績は全体では28例中23例 (82%) の改善率であった。聴力成績は全体で82%となり、特にI型やアブミ骨手術の成績に関して今後の課題と考えられた。

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© 2011 日本耳科学会
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