応用物理
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解説
有機薄膜界面の電子状態:現状と課題
解良 聡上野 信雄
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2003 年 72 巻 10 号 p. 1260-1267

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抄録

有機デバイスの特性を理解していくうえで,分子個々の性質と集合体としての薄膜の性質に加え,有機デバイス中に必ず存在する有機/無機界面について詳細に知ることがデバイス開発側から要求されつつある重要な課題である.しかし,その複雑さのために微視的な立場から体系的に捉えることは容易でなく,これが有機デバイスが爆発的な注目を集めるまで基礎的立場からの研究参入を拒んできた理由の一つである.光電子分光法はきわめて一般的な手法の一つで,今や有機デバイス界面の研究に不可欠となっている.有機/無機界面では得られる光電子スペクトル構造(線幅・形状・位置)についての正しい解釈がこの系を理解するうえでの重要な第一歩といえる.価電子帯最上部のバンドは,薄膜中や界面におけるキャリアの動的挙動,分子間相互作用などの物性基盤を理解するうえできわめて重要な情報を含んでいる.本稿では有機薄膜界面研究の現状,問題点と今後の課題について紹介する.

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© 2003 公益社団法人応用物理学会
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