2011 年 80 巻 5 号 p. 411-414
多環縮合芳香族炭化水素分子であるピセン(C22H14)結晶に,アルカリ金属原子をドーピングすると超伝導特性が観測されることを見いだした.得られる超伝導転移温度は,K3C22H14で7Kと18Kであり,Rb3C22H14とCa1.5C22H14で7Kである.これらの超伝導転移温度は有機物としては非常に高い.C22H14以外にも他の多環状縮合炭化水素へのアルカリ金属原子のドーピングで超伝導が観測されている.このことは,多環縮合炭化水素物質が新たな超伝導の基礎ならびに応用研究の舞台になることを示唆している.