2013 年 82 巻 9 号 p. 764-768
量子情報科学分野の発展にとって,量子操作が可能な,小型でスケーラブルな固体系の開発は重要である.しかし,原子系とは異なり,固体であるがゆえに量子系の天敵である熱から孤立した状態を確保することは非常に困難である.近年,極低温技術とナノ加工技術の進歩によって,新たな固体量子システムの候補として機械振動子を利用する研究が進展し,量子力学的イメージからは程遠いメソスケールの物体の振動を量子力学的基底状態にまで光で冷却することが可能になってきた.本稿では,フォトニック結晶ナノ共振器を利用したレーザー冷却法を取り上げ,その物理と展望について紹介する.