応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
解説
2次元物質から2.5次元物質科学へ
吾郷 浩樹
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2021 年 90 巻 10 号 p. 617-622

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抄録

グラフェンをはじめとする原子厚みの2次元物質は,究極的な2次元構造を反映した極めてユニークな電子・光・磁気物性と多様な応用の可能性をもち,学術から応用まで大きなポテンシャルを有している.近年では,同一,あるいは異なる組成を組み合わせた複数の2次元物質が創り出す新奇な物性や機能が興味深い研究対象として注目されている.我々はこのような新しい研究の方向性や将来性を有する高次構造を「2.5次元物質」と見なし,新たな物質科学の開拓を目指して研究を進めている.本稿では,筆者らの最近の研究を「2.5次元物質科学」という観点から解説する.具体的な例として,高度に制御された2層グラフェンの化学気相成長(CVD成長),2層グラフェンの層間(2次元ナノ空間)へのインタカレーション,六方晶窒化ホウ素のCVD成長とヘテロ積層化,そして有機分子による遷移金属ダイカルコゲナイドの電気特性のチューニングについて取り上げる.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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