応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
90 巻, 10 号
『応用物理』 第90巻 第10号
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巻頭言
Science As Art
今月号の概要
総合報告
  • 小池 淳一
    2021 年 90 巻 10 号 p. 600-609
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

    集積回路の多層配線はCuとSiO2ベースの絶縁層からなっており,界面にはライナー層と拡散バリヤ層が形成されている.微細化に伴ってライナー層/バリヤ層の存在による配線抵抗の上昇が課題となっている.この課題を解決する方策として,Cu-Mn合金を用いた自己形成バリヤ層を開発した.本稿は,自己形成バリヤ層を実現するための合金元素の選択方法,自己形成バリヤ層の組成,成長機構の項目に加えて,開発当時の90nmノードで2層配線構造を作製し,特性,信頼性を評価した結果などを説明する.

解説
  • 水素検出によるSiヘテロ接合および微結晶粒の可視化へ
    清水 康雄
    2021 年 90 巻 10 号 p. 610-616
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

    3次元アトムプローブ(APT)法は原子レベルに近い空間分解能で,試料を構成する元素の実空間分布を得る手法である.ハードウェア・ソフトウェア両面の高度化が進むことで多種多様な材料や微細なデバイス構造の有力な評価法として注目されているが,データ取得の成否は試料準備および加工のよしあしに大きく依存する.本稿では,集束イオンビームによる高度な微細加工技術を駆使したテクスチャ(非平面)上の試料切削例を紹介するとともに,最新のAPT法の活用例として高性能シリコン太陽電池を構成する非結晶層中の水素の定量解析法,水素検出を介したヘテロ接合や微結晶粒の可視化について解説する.

  • 吾郷 浩樹
    2021 年 90 巻 10 号 p. 617-622
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

    グラフェンをはじめとする原子厚みの2次元物質は,究極的な2次元構造を反映した極めてユニークな電子・光・磁気物性と多様な応用の可能性をもち,学術から応用まで大きなポテンシャルを有している.近年では,同一,あるいは異なる組成を組み合わせた複数の2次元物質が創り出す新奇な物性や機能が興味深い研究対象として注目されている.我々はこのような新しい研究の方向性や将来性を有する高次構造を「2.5次元物質」と見なし,新たな物質科学の開拓を目指して研究を進めている.本稿では,筆者らの最近の研究を「2.5次元物質科学」という観点から解説する.具体的な例として,高度に制御された2層グラフェンの化学気相成長(CVD成長),2層グラフェンの層間(2次元ナノ空間)へのインタカレーション,六方晶窒化ホウ素のCVD成長とヘテロ積層化,そして有機分子による遷移金属ダイカルコゲナイドの電気特性のチューニングについて取り上げる.

研究紹介
  • 日暮 栄治, 松前 貴司, 倉島 優一, 高木 秀樹
    2021 年 90 巻 10 号 p. 623-627
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

    近年,小型,低消費電力,高放熱,高出力などの優れた特性や異種機能を集積化した半導体デバイス・機器の実現に,常温・低温接合技術が重要な役割を果たすと期待され,国内外で活発な研究開発が行われている.センサおよびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は,シリコン(Si)以外のガラス材料,有機材料,圧電材料などのさまざまな異種材料が集積化され,ウェーハレベルでのパッケージングや微小空間の気密封止が求められるため,熱損傷による特性劣化や熱膨張係数差による残留ひずみをできるだけ与えない常温・低温接合技術が重要なキーテクノロジーとなっている.本稿では,常温・低温接合技術として金(Au)薄膜を用いた表面活性化接合(Surface Activated Bonding: SAB)を中心に取り上げ,センサ・MEMSの気密・真空封止という観点から最近の研究事例を紹介する.MEMS技術による小型原子時計用ガスセルへの適用などが期待されている.

  • 須田 淳, 堀田 昌宏, 鐘ヶ江 一孝
    2021 年 90 巻 10 号 p. 628-631
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

    GaN縦型パワーデバイスのエピタキシャル成長,デバイスプロセスの開発,あるいは,デバイス設計に点欠陥の知見は不可欠であるが,SiやGaAsに比べると,GaNの点欠陥の理解はまだまだ不足している.議論が分かれていた電子トラップの起源特定,n型GaN中の正孔トラップの簡便な定量評価方法の開発や測定の高速化によるウェーハマッピング,電子線照射により意図的に窒素原子のみを変位させることにより,窒素空孔や格子間窒素の作るトラップ準位,アニール挙動など,筆者らが取り組んできた研究について紹介する.

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