抄録
対向ターゲット式DCマグネトロンスパッタリング法を用いて作製したn型酸化亜鉛-酸化インジウム系透明導電性酸化物薄膜アモルファス薄膜を還元雰囲気下でアニールし、そのアニール処理が薄膜の透明導電性に及ぼす影響について検討した。アニール処理によってアモルファス相が崩壊しなかった試料については、アニール処理後キャリア濃度が2∼3倍になったものの、逆にキャリア移動度が減少して互いに相殺しあい、抵抗率はほとんど変化しなかった。アニール後ではキャリア濃度が増加したことを反映し、光学バンドギャップが大きくなり、全体的に可視光領域の透過率が若干低下した。SEM像およびAFM像を観察すると、アニール処理前のアモルファス薄膜は1000Å程度のスパイク状の粒子からなる凹凸のある膜であったが、アニール処理することにより非常にフラットな膜になっていることがわかった。