抄録
チタン酸バリウム(BaTiO3)は代表的な強誘電体材料であり、高い誘電率を有するため、積層コンデンサなどに応用されている。また、最近では高い圧電特性が報告されている。近年、電子デバイスの微細化に伴い、積層コンデンサの小型大容量化が益々進行しており、原料としてのチタン酸バリウム粒子に対しては、単分散性、微細化、形のコントロールが必要になっている。焼結法、水熱法、ゾル-ゲル法などの従来の合成法においては、チタン酸バリウムナノ粒子の形、粒径をコントロールすることが困難である。その様な観点から、単分散チタン酸バリウムナノキューブは非常に興味深い材料であるが、その合成例はこれまでに数報告のみである。本研究では水溶性チタン錯体(Titanium bis(ammonium lactate)dihydroxide, TALH)をTi源として用い、水溶液中で単分散チタン酸バリウムナノキューブを合成することを可能にした。