抄録
SnO-P2O5ガラスには低ガラス転移温度,高屈折率という特性から,精密モールド光学ガラスなどへの応用が期待されているが,耐水性が低いという問題がある。耐水性向上にはB2O3の添加が有効と報告されているが,温度・時間条件の影響を詳細に調べた例はない。本研究ではSnO-P2O5-B2O3ガラスに対し,温度及び時間を変化させて耐水性を評価し,ガラス構造との関係を調べた。試料は67SnO-(33-x)P2O5-xB2O3(x=0, 3, 5, 7, 10mol%)を用いた。耐水性はMCC-1静的浸出試験法を用い,40及び70ºCの蒸留水中に504時間まで浸漬させて試料の溶出量を求めた。試験後の試料は,X線回折及びFT-IRにより評価した。その結果,試料の重量減少と同時にSn3(PO4)2が生成されることが分かった。水への浸出挙動をガラス構造から考察した。