ヒト生活歯および失活歯から象牙質タンパク質を抽出し, 主に糖タンパク質の糖鎖成分を比較検討した。タンパク質の抽出は, グアニジン塩酸塩 (G1-ext), EDTA (E-ext) およびグアニジン塩酸塩 (G2-ext) を順次用いて行った。抽出タンパク質をSDS-PAGEで分離し, 銀, Stains-all, およびローダミンBで染色した。ついで, 各抽出画分の糖鎖をビオチン標識の各種レクチンを用いてウェスタンブロッティング法によって調べた。抽出タンパク質の総量は生活歯の方が多く, 各抽出画分では生活歯, 失活歯ともにE-extが最も多く, ついでG2-extであった。糖タンパク質の大部分はE-extに認められ, 生活歯と失活歯とを比較すると, 糖鎖にSiaα 2-6 Gal, Fucα 1-3 GlcNAc, Fucα 1-6 GlcNAcおよびGalβ 1-4 GlcNAcを含む分子量の異なる糖タンバク質が生活歯の方に種類, 量ともに多く認められた。