日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
ハイドロキシアパタイト補填後の長期経過症例について
1. 残存歯率および残存歯の条件
宮武 祥子伊與田 清美原 宜興廣藤 卓雄田中 みのり前田 勝正
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 39 巻 3 号 p. 361-367

詳細
抄録
歯周外科手術時にハイドロキシアパタイト (以下HAPと略す) を補填した部位における歯の転帰を調査した。術後5年以上の長期経過した70部位の歯について, 経過年数別, 歯種別に残存歯数を調べ, それぞれの症例数に対するその割合を残存歯率として評価した。さらに, 指示された定期的リコールに応じたかどうか, 固定の有無, 術前のプロービング深さ, 分岐部病変の有無といった条件の影響についても調査した。
HAP補填後5年で87%であった残存歯率は, 経過年数とともに減少し, 特に7年から8年後にかけて急激に減少し, 10年後では47%であった。歯種別に残存歯率をみると, 上顎大臼歯が44%と最も低く, 単根の上下顎前歯および下顎小臼歯がそれぞれ75%, 91%, 72%と高かった。条件を比較すると, 分岐部病変を有する症例では抜歯に到ったものが多かったが, それ以外の調査項目による影響は特には認められなかった。このことは逆に術前に深いプロービング深さを呈する症例でも十分に良好な予後が長期にわたって得られることを示していた。以上のことから, 単根歯の深い骨欠損部にHAPを補填することにより, 抜歯に到るような状況を回避して, 治療計画の立案が可能であることが示唆された。
著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top