実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
犯罪者に対する原因帰属の因子構造
向井 智哉野上 智行湯山 祥
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 8 巻 2 号 p. 157-162

詳細
抄録
犯罪者に対する原因帰属に関するこれまでの研究では、原因帰属の対象を内的/外的、あるいは属性的/状況的に区別する二元的アプローチと、原因帰属の対象をより細かく分ける多元的アプローチが並立している。これらのアプローチには一長一短があるため、両方の知見を蓄積していくことが望ましい。しかし、特定の類型の犯罪者ではなく、犯罪者一般に対して多元的アプローチを用いた研究は日本では行われておらず、多元的アプローチを用いた研究は手薄である。そこで本研究では、先行研究に基づき、犯罪者一般に対して多元的アプローチをとった場合に、どのような因子構造が抽出されるのかを検討することを目的とした。191名のデータを用いて探索的因子分析を行ったところ、5因子解と3因子解が可能であったため、これらの因子数によって分析を進めたところ、どちらの因子数でも抽出される因子は極めて解釈しづらいものであった。この結果から、多くの回答者は、犯罪学において想定される犯罪原因に沿った形では原因帰属を行っていないものと思われる。そのため、今後の政策決定においては、犯罪学理論に基づく犯罪原因に拘泥することは必ずしも有益ではないことが示唆された。
著者関連情報
© 2022 実践政策学エディトリアルボード
前の記事 次の記事
feedback
Top