霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: P-19
会議情報
ポスター発表
ニホンザルにおける性のカテゴリー弁別 -視覚性対呈示課題による検討-
*木場 礼子泉 明宏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
性の弁別は、繁殖成功の上で重要な能力の1つと考えられるが、ヒト以外の霊長類において視覚的に同種他個体の性の弁別が可能かどうか調べた研究は少ない。我々はこれまでに、オペラント条件付けを用いた実験より、ニホンザルが同種他個体の性別を視覚的に弁別できることを示した。本研究では、特別な訓練なしに、ヒト以外の霊長類が視覚的に性のカテゴリーに基づいた弁別ができるかを検証するため、ニホンザルオス24個体、メス25個体を対象に、被験体の自発的な注視行動を測定する視覚性対呈示課題をおこなった。刺激は、オトナ(7歳以上)、ワカモノ(5-6 歳)、コドモ(3-4歳)の3年齢群、それぞれオス10個体×2枚、メス10個体×2枚、計120枚のニホンザルの写真を用いた。刺激写真は、正面、平静顔で座っている姿勢の全身写真を用いた。課題は、まず、被験体のホームケージ前面に設置したモニターに、一方の性の刺激を左右に2枚並べて同時に呈示する(馴化ペア)。これを4回繰り返して馴化させた後に、馴化ペアと同じ性別の刺激1枚(馴化性)と、新奇の性別の刺激1枚(新奇性)を並べて呈示した(テストペア)。刺激呈示時に、被験体が左右どちらの刺激をどのくらい注視したかビデオ記録を基に分析をおこなった。テストペアでの新奇性の刺激に対する注視時間が馴化性よりも長ければ、弁別していると考えることができる。結果、被験体オス、メスともにテストペアにおいて新奇性の写真に対する注視時間が長かったことから、訓練をしなくても性のカテゴリーに基づいた弁別ができることが示唆された。今後さらに、被験体の性別・年齢と、刺激写真の性別・年齢が性の認識に与える影響について検討する。
著者関連情報
© 2006 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top