霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-15
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ポスター発表
マーモセットにおける親行動の週齢および育児経験による変化
*齋藤 慈子泉 明宏中村 克樹
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抄録
マーモセットは繁殖ペアとその子どもからなる集団で生活する。一回の産子数が多くの場合2子で、出生時の体重が母親の10%程度もある大きな新生児が生まれる。この新生児は、生後約1ヶ月の間オトナ個体に運搬されているが、母親だけでなく父親、および兄姉個体も乳児を背負って運び、子育てに積極的に参加する。このことから、マーモセットは母性行動だけでなく、父性行動やalloparental behaviorのメカニズムを解明するためのモデル動物に適していると考えられるが、そのためには基本的な子育てに関する行動を記述しておく必要がある。本研究では、5ペアを対象に、出産からの8週間、1日20分、週6日の行動観察を、のべ12出産分おこなった。各家族メンバーの子の背負い行動、父親と母親の接触を記録した。その結果、母親の背負い行動は乳児の成長に合わせて、徐々に減少する傾向がみられた。一方、父親は同様に減少傾向を示したが、生後2週目では、背負い行動がその曲線から大きく外れるように減少していた。その代わり2週目では、ヘルパー(乳児の兄姉個体)の背負い行動が増加する傾向が観察された。さらに解析すると、2週目には父親と母親の接触が増加していた。2週目に接触が増加する傾向は、子育て経験を重ねた父親ほど顕著にみられた。マーモセットのメスは、出産後1~2週の間に発情し、次の子どもを妊娠することが知られている。このことから、父親は2週目には子育てにかける時間を減少させ、メイティングにかける時間を増加させていると考えられる。またこのような行動は、子育て経験を重ねるにつれ、洗練されていくようである。今後はデータを増やし、子育て経験の影響をさらに検討していきたいと考えている。
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© 2007 日本霊長類学会
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