霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: A-09
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口頭発表
霊長類に寄生するシラミ類の細胞内共生細菌:その系統関係と進化的起源
*深津 武馬細川 貴弘古賀 隆一加藤 卓也羽山 伸一竹節 治夫田中 伊知郎
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抄録
シラミ、トコジラミ、オオサシガメ、ツェツェバエ、クモバエ、シラミバエなど一生を通じて脊椎動物の血液のみを餌とする昆虫類は、ほぼ例外なく体内に高度な微生物との内部共生系を保有しており、血液中に不足しているある種のビタミンのような栄養素の供給を受けていると考えられている(Buchner 1965)。
霊長類に寄生するシラミ類には、ヒトとチンパンジーに寄生するヒトジラミ属(Pediculus spp.;アタマジラミ、コロモジラミ、チンパンジージラミ)、ヒトとゴリラに寄生するケジラミ属(Pthirus spp. ;ケジラミ、ゴリラジラミ)、ニホンザルその他のサル類に寄生するサルジラミ属(Pedicinus spp.;サルジラミ、ハラビロサルジラミ他)がある(Durden and Musser 1994)。
ヒトジラミの中腸腹面に胃盤(stomach disc)という特有の構造があり、その中に共生細菌が存在することは約90年も前から知られていた(Sikora 1919)。しかしその共生細菌の微生物学実体が我々により解明され、”Candidatus Riesia pediculicola”の暫定学名が与えられたのはごく最近のことである(Sasaki-Fukatsu et al. 2006)。その後、ケジラミやチンパンジージラミも近縁の共生細菌を保有することが明らかにされた(Allen et al. 2007)。
一方サルジラミ類については、中腸後部上皮の輪状の領域の細胞内に細菌が存在するという組織学的報告(Ries 1931) 以来、まったく研究がなされていなかった。今回は、ニホンザル由来のサルジラミ Pedicinus obtusus について、その共生細菌の系統的位置、体内局在、微細形態、微生物学的実体、そしてヒトジラミ類やケジラミ類の共生細菌との関係について明らかにした結果について報告する。
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© 2008 日本霊長類学会
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