霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: A-08
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口頭発表
樹上および地上支持基体におけるニホンザル四足歩行の圧力計測
*日暮 泰男平崎 鋭矢熊倉 博雄
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抄録
歩行の際に指先だけが支持基体に接触するイヌやウマなど趾行性の動物とは対照的に、霊長類は手掌と足底を接触させる。最近の研究から、霊長類の手掌や足底が四足歩行の効率や四肢にかかる力を修正する機能を担うことが示唆されている(Patel et al., 2008)。しかし、現在までの手掌と足底に関する圧力データは、連続的な平面で取得されたものに限られている(Hirasaki et al., 2008; Patel et al., 2008)。霊長類の四足歩行に見られる特徴の多くは、樹上環境に適応した結果、獲得されたものだと考えられているため、手掌と足底の機能と他の歩行特徴との関連を明らかにするためには、樹上を模擬した支持基体においても実験を行う必要がある。そこで今回は、ニホンザル二頭が三種類の樹上および地上支持基体を歩行するときの手掌と足底への圧力を調べた研究成果を報告する。支持基体は連続的平面(地上)、桟の太い梯子状の支持基体(樹上)、桟の細い梯子状の支持基体(樹上)であった。手掌と足底について、接触面積、ピーク圧力、圧力中心の軌跡などを求めた。また、同時に撮影したビデオ映像から、移動速度や四肢の運び順などを明らかにした。結果、連続的平面を歩行するときは、ニホンザルの手掌と足底の広い範囲が支持基体と接触していたが、梯子状の支持基体ではその面積が減少し、そのためピーク圧力が増加した。足底の圧力中心の軌跡は、支持基体に依って大きな差異が見られた。
本研究の結果から、支持基体による手掌と足底への圧力と、霊長類の歩行特徴の一つであるコンプライアント歩行との関連性について仮説が得られた。コンプライアント歩行とは、立脚相に前後肢の関節を深く屈曲する歩行様式のことである。最後に、本研究で得られた仮説を検証するための方法を考察する。
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© 2008 日本霊長類学会
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