霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: A-7-4
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口頭発表
アフリカのコロブスはいつ親指をなくしたのか
*中務 真人國松 豊仲谷 英夫酒井 哲弥沢田 順弘
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抄録
演者らはケニア国立博物館と共同で,ケニア中部ナカリ地域の古人類学的発掘調査を行っている。この化石産出層の年代は980-990万年前である。ナカリでは,大型類人猿ナカリピテクスが発見されているが,それ以外にも多くのオナガザル類が発見されている。昨年の大会では,オナガザル科コロブス亜科マイクロコロブスの部分骨格発見について予備的な報告を行った。マイクロコロブスはこれまで知られている最古のコロブス亜科のメンバーであり,ナカリ以外ではトゥゲン丘陵のンゲリンゲルワ層(およそ950-1000万年前)からしか知られていない。ナカリのマイクロコロブスは現生のコロブス類が共有する四肢骨の派生形質を数多く示す。現生のコロブス類は手の親指の退化傾向を示す。この程度には,系統間の違いがあり,アジアのグループは,機能を果たすものの同サイズのオナガザル亜科よりも短い親指をもち,アフリカのグループはほとんど痕跡的にまで親指が退化している。ところが,ナカリのマイクロコロブス骨格の分析から,マイクロコロブスでは,親指が全く退化していない事が明らかになった。マイクロコロブスの系統的位置により,その親指の解釈は異なるが,いずれにせよ,手の親指の退化が,コロブス類の中で比較的遅れて現れた四肢の特徴であることには間違いない。決定的な証拠はないものの,現在のところ比較的可能性が高いと考えられる解釈について議論する。この研究は科研費#18255006,#19107007の補助を受けておこなった。
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© 2009 日本霊長類学会
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