主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 34
開催地: 東京都
開催日: 2018/07/13 - 2018/07/15
ギニアのボッソウでは40年をこえ野生チンパンジーの調査がおこなわれてきた。しかしボッソウの集団は2018年現在7個体まで減少している。ボッソウ周辺の別集団のチンパンジーについても生息状況を把握し悪化させないよう取り組む必要がある。近隣のニンバ山厳正自然保護区やディエケ森林保護区などで調査が展開されてきたが,保護区に指定されていない森はリベリア方向へも続いている。現在はチンパンジーが生息していても,保護区でないため鉱物採掘や木材伐採などの開発にさらされやすい。隣国のリベリアへ日本人研究者が活動を展開するだけでなく,さらにはギニアとリベリア両国が国境を越えてチンパンジーの保全のために協力する体制を整えることが望ましい。リベリア側でのチンパンジーに関する基礎的なデータの収集蓄積とギニア・リベリア両国間の連携体制強化を目的に2018年2月から3月にかけて,リベリア共和国パラの森でチンパンジーの調査をした。パラは保護区ではなく地域住民が利用する森だ。チンパンジーの道具使用などの行動をカメラトラップで記録しデータを蓄積することができた。ギニア人研究者がリベリアへの森林の連続性を再認識してもらえるよう,リベリア側にギニアの国立大学所属の研究者を案内し,はじめてパラで共同調査した。リベリアの関係者は人慣れしたチンパンジーを観察した経験がない。リベリア人スタッフをボッソウに案内し,終日の調査に参加してもらった。今回の調査で,この地域におけるギニアとリベリアとの連携体制の基礎をつくることができた。国は異なるが,国境を越えて同じマノン語を話す人々が生活している。今回の調査に同行した関係者もマノン人だ。地域住民は彼らの森のなかでのチンパンジー調査をうけいれてくれているが,さらに今回の連携体制のなかでチンパンジー保全の重要性が伝わることを期待している。