主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 34
開催地: 東京都
開催日: 2018/07/13 - 2018/07/15
東京都の奥多摩地域の多摩川南部から秋川北部の間には群れが生息していない空白地帯が存在していた。しかし,2007年以降,空白地帯内の山のふるさと村ビジターセンター周辺を利用する群れ(以下,山ふる群)が観察されるようになった。本発表では帝京科学大学のグループが2013年度から現在まで継続して山ふる群を調査した結果を報告する。ラジオテレメトリー法や直接観察による群れ追跡法を用い,QGISを用いて遊動のデータを分析した。食性は群れ追跡法と自動撮影カメラのデータを用いて分析した。山ふる群の個体数は2014年度から2016年度まで80頭前後で推移していたが2017年度には推定66頭ほどとなった。遊動域は2015年度の33.0km2という記録をピークに減少傾向にある。2014年度秋に湖の北にある集落へ出没し,農作物被害を出したことを確認したが,他の年や季節では確認されていない。2017年度は頭数や遊動域の面積が減少しているが,実際に頭数が減少したのか,または分派もしくは分裂していたことが原因となったのかは明らかとなっていない。山ふる群は2014年度に農作物被害を出していたが,他の年や季節に被害を出していないことから遊動域内の植生の生産量が十分な年には集落への農作物被害を出さないことを示唆している。群れの分裂が事実であれば本体と小群に分かれることによって湖北の集落へ農作物被害を出す可能性がある。隣接群を含めた個体群動態を明らかにすることが今後必要となってくる。