公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
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規制執行戦略のモデルとゲーム理論
大田 衛
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2021 年 21 巻 p. 124-135

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抄録

規制執行戦略における伝統的なモデル(執行活動モデル)では,違反者の類型に応じて行政,とりわけ第一線職員が取るべき対応が異なることが説かれてきた。しかし,このモデルは執行過程における行政と被規制者の「相互作用」を必ずしも上手く捉えられていない。そこで本稿では,相互作用の分析に強みを持つゲーム理論を用いて,執行活動モデルの再定式化を試みる。「規制ゲーム」と「交渉ゲーム」の複数のモデル分析を通じて,①「善意の違反者」に指導(周知戦略)で対応しつつ,「機会主義者」に違反を思い止まらせることは不可能であること,②消極主義の行政による違反放置をなくすには,違反を放置した場合に行政が得る利得を減少させることが有効であること,③「異議申立者」に対する適応戦略の有効性は,交渉の不一致点としての訴訟に対する行政及び被規制者の評価と,交渉の長期化に対する行政の忍耐力に依存すること,といった相互作用の数理的構造が明らかとなる。また,仮定から結論に至るメカニズムを明確化することで,規制政策に関する仮説を提示し,今後の更なる研究の発展に寄与する。

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© 2021 日本公共政策学会
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