抄録
本研究は,5 歳児の描画活動において,どのような微視的な相互行為によっていかに描画表現が展開するのかを明らかにすることを目的とした。5 歳児クラス計4 クラスの自由遊び場面を1年間参与観察し,幼児同士の応答行為を隣接ペアに基づき分析を行った。分析の結果,描画活動における幼児の相互行為の中には,①取り込む対象や方法に差異があることが示され,形や色などのアイデアは直接的に描画に取り込む一方で,想像や情動を伴うテーマやモチーフは,自分なりの工夫を加え取り込むこと,②描画の確認・要請・関心を疑問として明示的に相手に伝えることが,幼児同士の相互理解を促すこと,③身体的同調を伴う応答連鎖が,ある種の感情表現として描画の生成へ繫がることが明らかになった。