抄録
本稿の目的は保育の実践に関わる「信念」と「実践知」とを区別した上で,保育の担い手が抱いている実践についての信念のあり様をヴィジュアル・ナラティヴの方法論に依拠した「イメージ描画法」を用いて明らかにすることにある。研究協力を得た29名の保育士によって描かれたイメージ画の分析の結果,保育実践に関わる信念イメージの典型を示し得るものとして(1)子どもと同じ目線,(2)多様性の受容,(3)見守りの姿勢という3つのコードによって特徴づけることのできる信念イメージが抽出された。保育者の抱く実践についての信念の研究に視覚的なイメージの生成という方法を導入することにより保育者の信念研究の新たな可能性を展望した。