運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
総説
肥満に関する介入研究の現状と体重管理における運動の役割
中田 由夫
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 13 巻 2 号 p. 119-124

詳細
抄録

肥満に関する介入研究では,比較的短期間の減量効果について検討する研究と,長期間の減量効果について検討する研究が行われている。短期的減量効果を高める介入手段として,食事介入と運動介入の両方が重要であることはよく知られているが,体重減少量に対する効果の大きさを考慮すると,運動介入よりも食事介入の優先度が高いと考えられる。また,実際の減量指導においては,動機付け支援や教材の提供,指導スタッフによる支援が重要であり,支援形態として,個別指導と集団指導,インターネットを利用した支援など,さまざまなプログラム構成要素についての検討が行われている。短期的に得られた減量効果をいかに持続するかが次の課題であり,この局面では,運動介入の相対的な重要性が高まると考えられる。また,運動の習慣化による身体活動量の増加が体重維持に強く関与することが示唆されており,アメリカスポーツ医学会が発表したガイドラインにおいても,その重要性が示されている。今後は,肥満予防,減量介入,減量後の体重増加予防,それぞれの局面における質の高い研究を蓄積することが必要であり,日本人を対象としたガイドラインを作成するためには,日本人を対象としたエビデンスづくりも求められる。

著者関連情報
© 2011 日本運動疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top