目的:厚生労働省は「健康づくりのための運動基準2006」の中で「健康づくりのための最大酸素摂取量」の基準値および範囲を示している。しかしながら,この値や範囲と生命予後の関係について疫学的な検討を行った研究は見当たらない。そこで,本研究はこれらの値や範囲と生命予後の関係を明らかにすることを目的に,コホート研究のデータを解析した。
方法:本研究の対象者は日本人男性労働者8,935人であり,年齢の中央値および四分位範囲は35(29~43)歳であった。1982年から1988年の間に実施した自転車エルゴメータを用いた最大下運動負荷テストの結果から最大酸素摂取量を推定した。対象者を「健康づくりのための最大酸素摂取量」の基準値および範囲を用いて各年代別に「範囲以下」群(I群),「範囲の下限から基準値以下」群(II群),「基準値から範囲の上限以下」群(III群),「範囲の上限超」群(IV群)の4群に分類した後,2003年6月30日までの死亡情報を確認した。各群別に死亡の相対危険度を算出するために比例ハザードモデルを用いた。そして,年齢,BMI,収縮期血圧,飲酒習慣,喫煙習慣を調整した多変量調整ハザード比および95%信頼区間を求めた。
結果:観察期間中に360人が死亡した。I群を基準にした場合のII群,III群,IV群の多変量調整ハザード比および95%信頼区間は0.76(0.58-0.99),0.59(0.43-0.80),0.80(0.49-1.31)であった(トレンド検定: p=0.009)。
結論:日本人男性労働者において「健康づくりのための最大酸素摂取量」の基準値を上回る最大酸素摂取量を持つ群は総死亡リスクが低いことが示された。