目的:校庭の芝生化前後における児童の休み時間の身体活動の変化について検討することとした。
方法:対象者は小学校3年生から6年生の男子50名,女子36名とした。加速度計7日間連続装着により,芝生化(トラックの内側およそ2,500 m2)前後の身体活動実施状況を測定した。中休み(25分)と昼休み(15分)における座位活動および低強度,中等度,高強度身体活動実施時間を評価した。学年を共変量とした反復測定分散分析を用い,芝生化前後の身体活動の変化について性別に検討した。
結果:分析対象者は,中休み55名(男子35名),昼休み56名(男子35名)であった。中休みにおいて,女子の中等度身体活動が有意に増加した(芝生化前1.3±0.7分,芝生化後1.6±0.7分;p = 0.04)。 一方で,昼休みにおいては男女ともに座位活動が有意に増加(男子:芝生化前3.6±2.7分,芝生化後6.8±3.1分;p < 0.001,女子:芝生化前3.9±2.3分,芝生化後7.5±2.4分;p = 0.02),低強度身体活動が有意に減少した。
結論:校庭の芝生化前後で,中休みにおける女子の中等度身体活動の増加が認められた。一方で昼休みにおいては,男女ともに座位活動が増加,低強度身体活動は減少した。今後,行動観察法を用いて身体活動の質的変化についても検討し,芝生化をより効果的なものにするための工夫が求められる。