2012 年 14 巻 2 号 p. 143-150
目的:加速度計は,自由生活下での身体活動を客観的かつ妥当に評価する手段として広く用いられている。しかしながら,データを処理する際の設定条件によって,解析結果が異なる可能性がある。本研究では,3軸加速度計Active Style Pro(オムロンヘルスケア,京都)を用い,設定条件の1つであるepoch lengthの違いが解析結果に与える影響を,歩行活動と歩行以外の活動(以下,生活活動)に分けて検討した。
方法:本研究の参加者は減量介入研究のために集められた213人の過体重成人であり,データの得られた209人を解析対象者とした。身体活動のベースライン調査として,14日間,加速度計を装着した。有効日数は平日2日,休日1日以上とし,1日当たり10時間以上装着している日を有効日と定義した。
結果:Epoch lengthが10秒の場合と比較して60秒の場合,3 METs以上の活動時間が歩行活動,生活活動ともに短く,3 METs未満の活動時間では歩行活動が短く,生活活動が長かった。効果量(Cohen’s d)で比較すると,3 METs以上では歩行活動で1.43,生活活動で2.81,3 METs未満では歩行活動で0.30,生活活動で3.33であり,いずれも歩行活動よりも生活活動における影響が大きかった。
結論:Epoch lengthの違いは身体活動量の解析結果に影響を及ぼし,その程度は歩行活動よりも生活活動で顕著であることが示唆された。