2016 年 18 巻 1 号 p. 30-35
日本運動疫学会プロジェクト研究「介入研究によるエビデンスの『つくる・伝える・使う』の促進に向けた基盤整備」の呼びかけに対し,肥満者に対する集団型減量支援プログラム“SMART Diet”のエビデンスを提供する。我々はこれまで,単群試験や非ランダム化比較試験の蓄積によって開発されたSMART Dietの有効性を,ランダム化比較試験によって検証してきた。一般化可能性を評価する枠組みであるRE-AIMに基づくと,集団型プログラムに集まる参加者には人数的な制限と偏りがある(reach)。有効性(effectiveness)については,SMART Dietは動機付け支援講義,教材提供,集団型減量支援によって構成されるが,それぞれの構成要素の有効性が認められている。本プログラムの採用度(adoption)や実施精度(implementation)については今後の検証が必要であるが,広く利用が進むように,指導者養成講習会が開催されている。効果の維持度(maintenance)については既に検証され,一定の維持度を認めているが,更なる維持度の向上に向けた方策が必要である。このように,課題は残されているが,比較的短期間で十分な減量効果をもたらす介入手法であり,健康支援現場での活用が期待される。