目的:座位行動や身体活動の日内パターンの解明を主目的とした研究についてシステマティックレビューを行い,これまでの知見を整理し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。
方法:5つの文献データベースで検索した論文について,採択基準(成人,時間帯別の座位行動または身体活動に関する内容を含むなど)を基に該当論文を選定し,1)座位行動および身体活動の日内パターンの分布・傾向,2)座位行動および身体活動の日内パターンに関連する要因,3)座位行動および身体活動の日内パターンと健康アウトカムの関連という3つの観点から整理した。
結果:採択論文27編のうち,2015年以降欧米や豪州の高齢者層を中心に,加速度計法で評価した座位行動や身体活動を1時間ごと,あるいは1日を3つに区分して検討した研究が主流であった。分布・傾向を検討した12編の主な傾向として,日内の遅い時間帯で座位行動レベルの上昇と身体活動レベルの低下がみられた。また,関連要因を検討した21編の多くで,性別や年齢,肥満度と座位行動や身体活動パターンに関連がみられた。健康アウトカムとの関連を検討した研究は1編のみであった。
結論:座位行動や身体活動の日内パターンを検討した論文は少なく,対象者の居住地域や年齢,扱われた関連要因や健康アウトカムに偏りがあった。 セグメント化した介入のため,今後は対象者の特性別,特に我が国の壮年・中年層を含めた研究成果の蓄積が必要である。