理学療法科学
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Print ISSN : 1341-1667
研究論文
バランス能力からみた施設入所者と通所者の転倒歴と移動手段
澤田 豊赤坂 清和中嶋 知恵子高橋 邦泰
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2007 年 22 巻 3 号 p. 425-429

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抄録

介護老人保健施設入所者22名とデイサービス通所利用者23名を対象として,過去1年の転倒回数,移動手段,Berg Balance Scaleについて調査し,施設入所者と施設通所者で比較検討した。その結果,入所者と通所者の転倒歴,移動手段,Berg Balance Scale合計点に有意な差を認めなかった。Berg Balance Scale合計点より転倒危険性に換算すると,通所者と比して入所者で転倒危険性が約13% 高いことが示唆された。またBerg Balance Scale各項目について入所者と通所者を比較したところ,Berg Balance Scaleの「左右の肩越しに振り向く」,「台への足載せ」の2項目で有意差を認め,通所者は入所者に比較して動的バランス能力が高いことが示唆された。Berg Balance Scale合計点との相関では,転倒歴とは相関がないものの,移動手段について入所者と通所者の双方で相関を認めた。このことにより,Berg Balance Scale合計点より転倒歴については予測困難であるが,移動手段についてある程度の予測が可能であることが示唆された。

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© 2007 by the Society of Physical Therapy Science
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