本研究の目的は,人工呼吸器装着患者における肺コンプライアンス測定の有用性を明らかにすることである。対象は人工呼吸器装着中の呼吸不全患者221例であり,ウィーニングに活用した肺コンプライアンスと換気量,ウィーニングの成否を後方視的に調査し,関連性について検討した。その結果,肺コンプライアンスと1回換気量の間に有意な正相関を認めた。また,肺コンプライアンスが30 ml/cmH
2O未満では,1回換気量が5 ml/体重を下回る症例が高い割合で存在していた。さらに,ウィーニングの成否を判別するための肺コンプライアンスのカットオフ値は,32 ml/cmH
2Oで高い判別精度を示していた。よって,肺コンプライアンスは,換気量やウィーニングの成否との間に密接な関連性を認め,人工呼吸器装着患者の評価において有用な指標であると考えられた。
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