理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
22 巻 , 3 号
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特集
  • 赤坂 清和
    2007 年 22 巻 3 号 p. 311-317
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本稿では,理学療法の臨床場面で遭遇することが多い骨格筋異常に関連して,マッスルインバランスの考え方について整理した。緊張あるいは短縮した筋を伸張し,筋力低下している筋に対して筋力増強運動を行うことが重要であるが,それぞれ代表的な筋の検査方法と代償運動など検査施行上の注意点をあげた。また静的評価として姿勢,動的評価として歩行分析および片脚立位のみかたについて整理した。対象者の運動パターンを病態運動学的にとらえ,機能異常や能力低下などの評価と合わせて包括的に問題点を整理し,理学療法を適切に選択することにより,理学療法の効果を向上させる有効な手法となることを示した。
  • 藤田  博曉, 潮見  泰藏
    2007 年 22 巻 3 号 p. 319-324
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本稿では,理学療法モデルの変遷を述べ,新たな理学療法介入として「課題指向型アプローチ」,「Motor Relearning Program」について論じた。脳卒中を中心とする中枢神経系の理学療法介入は,単に麻痺の改善を目的とするだけでなく,生活を見据えた実践的な治療が求められている。
  • 渡辺 学
    2007 年 22 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    半側空間無視に対して理学療法的視点から概説する。特性ではタイプや重症度により反応が異なることや,半盲などの合併症が症状を複雑化させることを説明する。評価では机上検査は数種類実施し比較すること,基本動作における無視の影響を観察すること,ADLは家族の精神状態を把握することが重要であることを指摘する。治療アプローチでは,治療対象と特性を考慮して方法を選択する必要があり,従来の治療法に加えプリズム順応や側方ミラーアプローチといった感覚運動可塑性刺激を中心とした方法など最近のトピックスを交えて紹介する。
  • 佐藤 博志
    2007 年 22 巻 3 号 p. 331-339
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    神経学的障害を持つ患者が機能的活動を再獲得するための過程において,患者が持つ潜在能力を適正に捉え,その顕在化を阻害している因子を改善することは,その評価と治療的アプローチにおける課題である。これらの患者の多くは姿勢制御不全を来たし,機能的活動の阻害因子となっている。随意運動としての行動の発現には姿勢制御が先行すること,姿勢制御のためには異なる種類の多くの感覚入力が必要である事などを考慮すると,姿勢制御を獲得する過程が適応行動の神経基盤として重要であると考える。本稿では臨床的な視点での姿勢制御の構成要素に注目し,神経学的障害を持つ患者の評価と治療的アプローチについて述べる。
研究論文
  • 村田 伸, 甲斐 義浩, 田中 真一, 溝田 勝彦, 山崎 先也
    2007 年 22 巻 3 号 p. 341-344
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,健常成人男性15名(左右30肢)と地域在住高齢者男性21名(左右42肢)を対象に,足把持力や足把持力の最大値到達時間などを測定し,その測定値を比較することによって足把持機能の加齢による影響について検討することである。その結果,高齢者の足把持力は健常成人の48.3%,最大値到達時間は214.3%であり,握力は71.2%であった。これらの成績から,足把持力や最大値到達時間などの足把持機能は,握力に比べ加齢の影響を受けやすいことが示唆された。また,高齢者の転倒との関連性が指摘されている足把持力のみならず,最大値到達時間を加味した足把持機能が転倒を引き起こす可能性について,科学的に探究する意義と重要性が示唆された。
  • 江村 健児, 松崎 太郎, 細 正博
    2007 年 22 巻 3 号 p. 345-351
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    目的:胸鎖関節には関節円板が存在し,関節円板によって胸鎖関節は球関節の機能を持つとされている。本研究の目的は,胸鎖関節の関節円板を病理組織学的に検討することである。方法:剖検症例において摘出されたヒト胸鎖関節円板を,光学顕微鏡を用いて病理組織学的に観察した。結果:胸鎖関節円板に断裂(tear),粘液様変性(myxoid degeneration),軟骨細胞の集簇化(chondrocyte cloning)等の所見を認めた。また関節円板の表面が,表面にほぼ平行して層状に剥離する像をよく認めた。他の関節円板との比較では,解剖学的,発生学的に関節円板と同一と考えられる膝半月板の病理組織像に関する過去の報告と今回の結果が類似していたが,層状剥離の記述は見られず,これが胸鎖関節に特異的なfibrillationの表現である可能性が示唆された。
  • 伊藤 弥生, 山田 拓実, 武田 円
    2007 年 22 巻 3 号 p. 353-358
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究は高齢者において円背姿勢が呼吸機能や呼吸パターンに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。地域在住高齢者65名の脊柱の後彎計測を行い,円背指数により正常群と円背群に分類した。握力,呼吸筋力,呼吸機能,安静換気と肺活量測定時の換気様式及び胸部呼吸量と腹部呼吸量の測定を行い,2群で比較した。円背群は正常群に比べ,握力,最大吸気・最大呼気口腔内圧,PEFと%PEFが有意に低下していた。安静換気では,正常群は腹部優位,円背群は胸部優位と換気様式に違いがあった。安静換気と肺活量測定時ともに,円背群で腹部呼吸量が有意に少なかった。
  • 霍 明, 常 冬梅, 丸山 仁司
    2007 年 22 巻 3 号 p. 359-364
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究は高齢者における運動機能・認知能力を評価し,転倒との関係を検討することである。対象は101名で,転倒群と非転倒群の2群に分けて検討した。測定項目は足踏み時プローブ反応時間,Trail Marking Test Part-A,Timed Up and Go Test,10 m自由歩行速度,1足踏み周期所要時間であった。結果,転倒群において,Timed Up and Go Test,10 m自由歩行速度,足踏み時プローブ反応時間,Trail Marking Test Part-Aは有意に延長し,1足踏み周期所要時間の変動係数は有意に増大した。転倒を従属変数としたロジスティック回帰分析とROC曲線の評価から足踏み時プローブ反応時間のcut-off値は497 msecであった。以上により,高齢者において,足踏み時プローブ反応時間を用いた測定は転倒リスクの評価に有効であることが示唆された。
  • 甲斐 義浩, 村田 伸, 田中 真一
    2007 年 22 巻 3 号 p. 365-368
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,健常成人男性15名(平均年齢22.4±5.7歳,平均身長170.2±5.4 cm,平均体重62.3±8.7 kg)の左右30肢を対象に,利き足と非利き足における足把持力と大腿四頭筋筋力およびそれらの最大値到達時間について比較検討した。利き足の判定については,ボールを蹴る足を機能脚,走り幅跳びで踏み切る足を支持脚とした。機能脚と非機能脚,支持脚と非支持脚の比較において,双方ともに足把持力と大腿四頭筋筋力および最大値到達時間に有意差は認められなかった。本研究では,利き足と非利き足の足把持機能ならびに大腿四頭筋機能の優位性を示すに至らなかった。今後,別の変数を用いた検討が必要と考えられる。
  • 芥川 知彰, 西上 智彦, 榎 勇人, 石田 健司, 谷 俊一
    2007 年 22 巻 3 号 p. 369-372
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    理学療法の臨床現場で簡便に行える客観的な動作分析としてビデオカメラを用いた2次元動作解析が挙げられる。今回,動画解析ソフトを用いて歩行中の身体角度計測の信頼性を検者内・検者間の両面から検討した。その結果,検者内・検者間信頼性共に一定の信頼性が得られ,習熟した検者が測定することで特に高い信頼性が得られることも示唆された。カメラの機種や三脚位置・角度,ズーム調整,マーカーの貼付箇所などの撮影条件を整え,測定する対象の再現性が十分に得られれば,本手法は2次元での簡便な動作解析として臨床に広く普及しやすいと考える。
  • 横山 仁志, 近藤 美千代, 森尾 裕志, 平木 幸治
    2007 年 22 巻 3 号 p. 373-378
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,人工呼吸器装着患者における肺コンプライアンス測定の有用性を明らかにすることである。対象は人工呼吸器装着中の呼吸不全患者221例であり,ウィーニングに活用した肺コンプライアンスと換気量,ウィーニングの成否を後方視的に調査し,関連性について検討した。その結果,肺コンプライアンスと1回換気量の間に有意な正相関を認めた。また,肺コンプライアンスが30 ml/cmH2O未満では,1回換気量が5 ml/体重を下回る症例が高い割合で存在していた。さらに,ウィーニングの成否を判別するための肺コンプライアンスのカットオフ値は,32 ml/cmH2Oで高い判別精度を示していた。よって,肺コンプライアンスは,換気量やウィーニングの成否との間に密接な関連性を認め,人工呼吸器装着患者の評価において有用な指標であると考えられた。
  • 齋藤 里果, 倉本 アフジャ亜美, 丸山 仁司
    2007 年 22 巻 3 号 p. 379-383
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    大学授業に自己評価・ファイル作成を導入し,学生の学習が変化するか調査し,今後ポートフォリオを導入するための方法を検討することを目的とした。193名の学生を対象とし,授業に自己目標・評価シート(方法1),ファイルの作成(方法2)を導入した。終了後のアンケートで,シートの導入による学生の感想を調べた。結果は,50%以上の学生が効果的だったと感じていたが,学習や授業に役立てることが出来たと感じた学生は40%であった。学習にポートフォリオを利用する場合,学習領域や学習の到達度に個人差があると考えられ,今後は導入する科目や学習の評価方法について,検討していく必要がある。
  • 井口 茂, 松坂 誠應, 陣野 紀代美
    2007 年 22 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究は転倒骨折予防教室の参加者385名を対象に介入プログラムの効果と転倒予防の適応となる要因について検討した。週2回6ヶ月間の介入の結果,簡易版Geriatric Depression Scaleは有意に低下し,椅子起立時間,6 m歩行で有意に向上した。転倒数の減少に関わる要因として,年齢70歳以上,腰痛有り,服薬数3つ以上,転倒経験者,転倒リスク数3個以上,Fall Efficacy Scaleの得点29点以下で有意差が認められた。低頻度の運動プログラムでも地域高齢者の身体機能の維持・向上への効果に寄与できることが示唆され,参加者の転倒要因を考慮することが重要である。
  • 宮原 洋八, 小田 利勝
    2007 年 22 巻 3 号 p. 391-396
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,高齢期の主観的健康感と運動能力,生活機能,ライフスタイル,社会的属性間との関連を明らかにすることで,測定に参加したのは高齢男女223名(平均年齢76.4歳)である。分析の結果,要介護認定区分,身体的状況,握力,膝伸展力,最大歩行速度,生活機能,ライフスタイルにおいては「非良好群」が「良好群」よりも劣り,主観的健康感とは全運動能力項目,生活機能,ライフスタイルで有意な相関が見られ,身長,体重,BMI,生活機能,ライフスタイルが関連した。
  • 宮原 洋八, 小田 利勝
    2007 年 22 巻 3 号 p. 397-402
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,ライフスタイルと運動能力および,生活機能,社会的属性間の関連を明らかにすることで,測定に参加したのは高齢男女221名(平均年齢76.5歳)である。性,年齢,家族構成,要介護状況,身体的状況を聴取し,ライフスタイル22項目,生活機能13項目に関して質問紙を用いた面接調査を行い,運動能力は3項目を測定した。ライフスタイル良好群は,不良好群に比較して運動能力,生活機能の成績が高く,ライフスタイルと運動能力,生活機能,身体的状況とは相互に有意な関連が認められた。ライフスタイルは運動能力や生活機能に規定されているとともに運動能力,生活機能,身体的状況の低下を予防することを示唆している。
  • 今 直樹, 堀尾 暁, 佐々木 誠
    2007 年 22 巻 3 号 p. 403-407
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    健常女性12名を対象にNeutral,Knee-In & Toe-Out,Knee-Out & Toe-Inの3条件の下肢アライメントで,高さ40 cmの台から床反力計への片脚着地動作を行い,筋放電,床反力を測定した。Knee-In & Toe-OutではNeutralよりも大腿直筋の最大筋放電・積分値,外側広筋の積分値,身体内側方向への床反力が有意に大きかった。Knee-Out & Toe-Inでは身体外側方向への床反力が有意に大きかった。結果よりKnee-In & Toe-Outでは,大腿直筋と外側広筋が収縮することで脛骨を前方に強く引き出す力が働き,また身体内側への床反力を受けて大腿骨に対する脛骨の内側への剪断力が生じるため,ACL損傷が起こりやすいのではないかと考えられた。Knee-Out & Toe-Inでは下腿内旋位によるACLの張力の高まりに加え,大腿骨に対する脛骨の外側への剪断力が生じるためNeutralに比してACL損傷が起こりやすいと考えられた。
  • 三秋 泰一, 加藤 逸平
    2007 年 22 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,足アーチ高率と内外側方向における足圧中心位置の関係を検討することであった。20名の健常女性の足アーチ高率を測定し,足アーチ高率が11%以下の低い群(4名),11~15%の中等度群(8名),15%以上の高い群(8名)の3群に分け,それぞれの内外側方向における足圧中心位置を比較した。足アーチ高率は低い群で10.7±0.2%,中等度群で11.8±0.5%,高い群で16.7±1.2%であり,足アーチ高率は,低い群および中等度に比較して高い群が有意に高かった。内外側方向における足圧中心位置は,低い群および中等度群が高い群と比較して有意に内側へ偏移していた。これらの結果は,扁平足の評価において内外側方向における足圧中心位置が一指標となりえることが示唆され,足底板を作製する際,この足アーチ高率は,足底板の高さを決める指標に使用できると思われた。
  • 篠原 智行, 内田 恵理, 臼田 滋
    2007 年 22 巻 3 号 p. 413-417
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    起き上がりは空間内での運動の切り替えが多く,空間知覚や体性感覚と関連していると考えられる。そこで脳卒中片麻痺患者26名を対象に起き上がり所要時間,Wechsler Adult Intelligence Scale-Revisedの積み木テスト,Stroke Impairment Assessment Scaleの感覚および腹筋力テスト,Brunnstrom stage,体幹可動域,改訂長谷川式簡易知能評価スケールを評価し,これらの関連性について検討した。起き上がり所要時間測定の級内相関係数は0.86と高い信頼性が得られた。起き上がり最小時間,平均時間と積み木テストおよび感覚検査には有意な弱い負の相関が認められ,起き上がりと空間知覚および体性感覚との関連が示唆された。
  • 小林 薫, 佐藤 仁
    2007 年 22 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    関節運動学的アプローチ-博田法は徒手的疼痛治療の他に運動療法技術としての役割も存在する。その一手技に抵抗構成運動があり,本研究では中枢神経疾患の既往のない高齢者の両膝関節へ本手技のみを施し,アプローチ施行前後の動的バランス能力の変化について調べた。被験者は,歩行自立レベルの高齢者20名とし,抵抗構成運動を施行する群(平均年齢77歳)と抵抗構成運動を施行しない群(平均年齢76歳)にカードを用いて各10名ずつ割り付けた。動的バランス能力は,Timed Up & Go Testを用いて評価した。結果,抵抗構成運動を施行した群のアプローチ施行後のTUG値が有意に減少し(p<0.05),本手技が動的バランス能力の向上に有用である可能性が示された。臨床では,抵抗構成運動が動的バランス能力向上に対する一治療法として提案できる。
  • 澤田 豊, 赤坂 清和, 中嶋 知恵子, 高橋 邦泰
    2007 年 22 巻 3 号 p. 425-429
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/18
    ジャーナル フリー
    介護老人保健施設入所者22名とデイサービス通所利用者23名を対象として,過去1年の転倒回数,移動手段,Berg Balance Scaleについて調査し,施設入所者と施設通所者で比較検討した。その結果,入所者と通所者の転倒歴,移動手段,Berg Balance Scale合計点に有意な差を認めなかった。Berg Balance Scale合計点より転倒危険性に換算すると,通所者と比して入所者で転倒危険性が約13% 高いことが示唆された。またBerg Balance Scale各項目について入所者と通所者を比較したところ,Berg Balance Scaleの「左右の肩越しに振り向く」,「台への足載せ」の2項目で有意差を認め,通所者は入所者に比較して動的バランス能力が高いことが示唆された。Berg Balance Scale合計点との相関では,転倒歴とは相関がないものの,移動手段について入所者と通所者の双方で相関を認めた。このことにより,Berg Balance Scale合計点より転倒歴については予測困難であるが,移動手段についてある程度の予測が可能であることが示唆された。
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