抄録
近年,運動制御過程に認知的な課題を組み入れるリハビリテーションが実施されるようになってきた。本研究の目的は,近赤外分光法(fNIRS)を用いて順序を対象とした弁別課題によって得られる脳賦活を検証することである。右利きの健常若年成人14名に対し,条件Aと条件Bの2条件において脳血流測定を行った。条件Aでは何も考えずに容器をつまみ,条件Bでは容器を5回つまみ,その中で一つだけ幅の異なる物を用意し,それが何番目であったかを実験終了後に聴取する課題であった。結果,条件Bでは運動前野,前頭連合野背外側部において有意な血流増加を認めた(p<0.05)。このことから,能動的な運動であるという条件は同じであっても,そこに弁別課題を組み込むことによって,一次的な記憶の保持や運動実行過程とそのフィードバック情報との比較を行うために前頭連合野や運動前野の機能が動員されたものと考えられた。