2015 年 30 巻 3 号 p. 375-378
〔目的〕本研究は階段昇降,坂道歩行時の踵部および前足部の荷重動態を明らかにすることである.〔対象と方法〕整形外科疾患の既往がない健常女性15名に対し,靴式足圧計測装置を履き平地歩行,昇段,降段,昇坂,降坂を行わせた.それぞれの条件下で踵部と前足部の荷重値と踵接地時からの時間を調べた.〔結果〕昇段,降段の垂直分力荷重曲線では前足部の荷重応答期に平地歩行では見られなかった極大が観察された.昇坂,降坂では平地歩行と類似した曲線であった.〔結語〕昇段,降段の荷重応答期に前足部は踵部より早く荷重ピークを迎え,身体の持ち上げや下降に際し,体重心の上下動を滑らかに,また最小限にするよう働いていると思われた.