抄録
症例は62歳の男性.肝硬変で加療中に右前上亜区域の肝細胞癌と診断されたため,肝動脈塞栓術および経皮経肝門脈枝塞栓術の後,右前上亜区域切除術を施行した.術後に切除断端からの胆汁漏が認められたが,これは約3カ月のドレナージにより治癒したと思われた.しかし退院後約6カ月経過した頃より,黄色の喀痰を伴った咳嗽が出現した.検査の結果,右横隔膜下膿瘍と交通する気管支瘻の存在が証明された.この右横隔膜下気管支瘻に対して右横隔膜下ドレナージを施したところ, 2カ月後に軽快退院した.本症は肝切除後合併症のなかでは稀であるが,その予防と治療について若干の考察を加えた.