2024 年 65 巻 8 号 p. 764-768
日本は今,人口減少という大きな歴史的転換点にあり,これまでの常識が通用しなくなると同時に,新たな社会変革の絶好の機会を迎えている。特に医療界は,すべての市民が関わる重要な分野であるため,時代の変化を捉えた改革への期待が大きい。改革の実現のためには多様性を推進することが有効であるが,その前提として多様性の世代間ギャップを認識する必要がある。また,医学・医療界の多様性には独自の問題と他の分野と共通の課題があるが,医学と医療界特有の課題として,患者優先の持続可能な医療・医学の実現と医師の労働環境改善が急がれる。そしてその解決のためには医学と医療界のみならず,患者である市民全体を包含した改革が必要とされる。医学・医療に限定しない課題としては,女性リーダーの登用と育成があり,その解決のためには欧米の事例を参考にするとともに,働き方改革の実行が必要である。人間の健康という本質的問題を解決する医学・医療界こそが,歴史的転換点の先にある未来に向けて,科学的根拠をもって,人工知能と共存する新たな社会を創り出すことが大いに期待される。