2024 年 30 巻 p. 11-16
河川汽水域における環境DNA調査では捕獲確認種を検出できた割合が河川淡水域より低いことが報告されている.これは汽水域の潮汐による水位や流向の変化や,比較的広い川幅や遅い流速に起因する可能性があり,採水するタイミングや調査努力量の設定が課題となる.また潮位変化の大きさは地域によって異なるが全国的に調査した事例はない.本研究では潮位変化の大きさが異なる13河川の汽水域を対象に下げ潮,干潮,上げ潮,満潮時のサンプルに対してMiFish法による環境DNAメタバーコーディングを実施し,汽水域における最適な採水タイミング及び調査努力量について検討した.一般化線形モデルによる解析では下げ潮より上げ潮時に検出種数が多い傾向がみられた.調査努力量の検討では採水回数に対する種数及び捕獲調査に対する一致率の累積曲線(偶来性の高い海水魚を除く)は4潮汐では飽和しなかったが,増加勾配は2潮汐で最も大きく,2潮汐での採水が費用対効果の高い調査努力量であると考えられる.