2025 年 31 巻 p. 541-546
本研究は,2022年8月豪雨で土砂流出のあった新潟県村上市の周辺地域を対象に,空間分解能の異なる4種の光学衛星データを用いてNDVI差分値(ΔNDVI)の計算により土砂流出範囲を広域に抽出し,空間分解能の違いが抽出手法の抽出率に及ぼす影響を調べた.y=axの一次式(y: 抽出面積,x: 実績の土砂流出範囲の面積)における回帰係数aを用いて土砂流出範囲の抽出面積を求めると,Pleiadesが0.47,SPOTが 0.53,Planetが0.78,Sentinel-2が0.66となり,高分解能の2種の衛星データが全体の約5割を抽出しており,中分解能の2種が7割~8割程度を抽出できていた.土砂流出範囲の抽出率を評価すると,高分解能の衛星データ(Pleiades,SPOT)は面積を基準とした抽出率が低く,個数を基準とした抽出率が高かった.中分解能の衛星データ(Planet,Sentinel-2)はそれらと逆の傾向を示していた.土砂流出の個数や面積といった評価軸の違いによって,解析に用いる衛星データを選択することが重要と考えられた.