スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
31歳を迎えたプロサッカー選手が取り組んだフィジカルの経年変化克服事例:
ベテラン選手が現役を継続させるポイントを探るために
田中 奏一金高 宏文前田 明
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2023 年 15 巻 p. 125-139

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抄録

本研究は,ベテランのプロサッカー選手がフィジカルの経年変化に応じた課題を克服するにあたって,どのような点に留意すべきかのヒントを得るための事例研究である.30 歳を超えて現役を続行した筆者のフィジカルの経年変化に伴う課題や,改善のために取り組んだ内容,過程について分析した.シーズン終盤には,怪我の頻度の増加,疲労回復力の低下,トップスピードの低下,について改善されたが,高速度で走り続ける力は,完全に改善することはできなかった.プロサッカー選手が長く現役選手としてプレーするためにどのようにフィジカル課題に取り組むべきか検討し,以下のことを考察した. 1)食事形態の指導による食事内容の変更は短期間での効果が期待でき,ベテランの選手にとっては若い選手に比べてより重要な取り組みであること 2)疲労回復力を高めるために,若い頃から蓄積した体重のデータを参考に目標体重を設定し,体重を指標にして除脂肪体重を増やすことは有効であること 3)ベテラン選手が走行速度を改善するためには,主観的感覚による分析により改善が可能だが,より改善するためには若い頃より長期的な視点で走行フォームについて改善する必要があること

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© 2023 日本スポーツパフォーマンス学会
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