抄録
本研究では,野球の外野手が二者間に飛来する打球に対して,捕球する選手に関する判断を行う場面における選手間の位置関係や声かけについて検討することを目的とした.大学硬式野球部に所属する8 名(センター4 名,ライト4 名)を対象とし,実際のフィールドにおいて,センターとライトの間に打たれたゴロやフライをどちらの選手が捕球するかを判断し,実際に捕球を行う課題を実施した.その結果,両選手のインパクト時の位置から捕球位置までの距離の差が大きい(本研究では2m 以上)場合には,選手の位置関係や打球の情報に基づいて捕球する選手に関する判断を行っており,主に捕球位置までの距離が短い方の選手が捕球を行っていることが明らかになった.また,声かけについては,一方の選手が声かけを行った後に,もう一方の選手も声かけを行うことによって選手間での意思疎通を図ることが多く,特に捕球者が意思表示の声かけを行った後に,非捕球者が指示の声かけを行うパターンが多くみられることが示された.さらに,選手の位置関係や打球に応じて声かけのタイミングを変動させており,打球が両者の中間付近に飛来した場合ほど遅いタイミングで声かけを行っていることが示唆された.