抄録
本研究は大学サッカーを対象に,グループ戦術として複数人がボールを奪取する際,選手の認知の様相を明らかにすることを目的とした.研究方法は,ボールを奪取することに失敗と成功した場面に関わる6 人にインタビューを実施した.瀧井(1995)及び中川(1984)に基づきマトリックス表を作成し,6 人の発言を分類した.本研究の成果は以下3 点である.1)ボールを奪取することに失敗した場面は,「場面3:誘導1」「ゲーム状況の認知」で4 人の選手から誘導の発言が確認できなかった.「場面4:誘導2」「プレーに関する決定」で1 人がドッペルンの認知を有していなかった.2)ボールを奪取することに成功した場面は,「場面1:規制」「場面3:誘導1」で右サイドに追い込み誘い込みボール奪取しようとする認知が確認された.「場面1:規制」から「場面5:ボール奪取状況」は中盤型プレッシングの方法と同じ認知の様相を6 選手全員が有していた.3)「場面3:誘導1」のボールを奪取することに失敗した場面と成功した場面から,グループ戦術として2 選手以上が誘導の認知を有していた場合,ドッペルンの認知を有していた場合,ボールを奪取できる可能性がある.