2016 年 38 巻 1 号 p. 32-44
本研究は,高齢者が実施している余暇活動の実態を把握すること,および余暇活動と認知機能との関連を検討することを目的とした.分析対象は,69〜71歳の地域在住高齢者961人であった.現在行っている余暇活動として自由記述で挙げられた4,412項目を心理学・老年学を専門とする研究者6人で討議した結果,138種類に分類され,12種類の上位カテゴリーに分類された.認知機能を評価する課題として日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)を用いた.認知課題の成績を従属変数とし,余暇活動の上位カテゴリーごとの実施数を独立変数にした階層的重回帰分析を行った.その結果,関連要因を統制しても趣味活動カテゴリーや休息・リラックスカテゴリーの実施数が多いほど,認知課題の成績が高かった.これらの結果は,余暇活動の実施数と認知機能には正の関連があることを示しており,今後も余暇活動の評価方法を検討し,認知機能との関連を検証することが望まれる.