レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(レギュラトリーサイエンス(RS)の薬学教育の動きと今後の新展開)
オーバービュー: 薬学部でのレギュラトリーサイエンス教育の新たな視点
西村 多美子
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2021 年 11 巻 2 号 p. 125-129

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抄録

1987年に内山充先生が提唱したレギュラトリーサイエンス (RS) は, 薬学部では, 多種の教科で多数の教員が教育にかかわっている. しかし, RSが薬学教育モデルコアカリキュラムに組み込まれて以来, その重要性が認識されていくにつれて, 種々の解釈がなされるという問題が生じた. 最近では, 実務経験のある教員による授業科目は, 授業計画 (シラバス) で明らかにすることとされている. 厚生労働省や医薬品医療機器総合機構の職員が教育現場に実務家教員として転出し, 医薬品評価学, レギュラトリーサイエンス (RS) の教授として自らの研究室を主催する例も増加している. 得られるデータから結果を予測して, 判断していくRSの考え方を, 薬学生は身につけることになる. アクティブラーニングを応用したRS関連の問題を解決する能力の醸成を図るさまざまな教育方法が実施されている. 大学で身につけた調整能力や判断力は, 医薬品開発, 製造や供給業務にかかわる薬学部卒業生ばかりではなく, 薬剤師にとっても重要な能力といえる. 例えば, 大学において新薬承認審査を疑似体験することで, 薬学部卒業生は規制当局から得る情報の裏付けを知り, RSに基づく患者の立場に立った解決策を見いだしていくことが期待される. RS教育において, 規制当局の判断の裏付けは, データの蓄積状況により変化するものであり, 規制当局の対応とその裏付けを明確に学生に示していくことも重要であると考える.

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© 2021 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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