レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(プログラム医療機器における医療データの利活用について)
SaMDに対する医療データ利活用における業界側の期待と課題
成行 書史田中 志穂久芳 明和田 賢治
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2023 年 13 巻 3 号 p. 239-244

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抄録

AI技術の発展に伴い,SaMDとしての活用検討が急速に進んでいる.AI技術の開発においては,学習データとして医療情報を利活用する必要があり,研究開発~社会実装後を通じて,データの二次利用が重要な観点となってくる.配慮すべき点としては,①個人情報保護法,②生命・医学系倫理指針,③医薬品医療機器法の3つの点があげられる.個人情報保護法においては,仮名加工情報などが整備されつつあるが,実務的な手順や基準が明確になっていないという課題がある.また倫理指針においても,関連法規との不整合などの問題があった.薬機法(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律)に関しては,承認審査に伴う信頼性保証の具体的な方法についてまだ不明確な部分が残っていると感じている.しかしながら,昨今,行政によって取り組みが迅速に進められており,業界側としても期待をもって捉えている.今後の展望としては,二段階承認などの新しい制度が行政から発出されており,RWD(real world data)を活用することによって,これまで実用化や保険申請のエビデンス構築が難しかった品目についても道が開けるのではないかという期待をもっている.業界としても,社会実装の事例,患者のアウトカムにつながる実例を積み上げ,社会の理解を醸成して,SaMDの開発・社会実装の好循環に向けて取り組んでいきたい.

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© 2023 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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